相続・事業承継対策

 相続や事業承継は、関係当事者が多岐にわたり、関係当事者(相続人)の利害が複雑に絡んだり、事業承継問題とも密接に絡むため、時間をかけてじっくりと対処してゆくべき問題です。
 多くの方が、「相続や事業承継の問題」を「相続税対策」の問題だと勘違いしていますが、決して単純に相続税の負担を節減することだけを検討すればよいと言うものではありません。
 また事業承継にあたっては、後継者がスムーズに経営権を承継するために、単純な株式の承継だけでなく、後継者自身の意識改革も必要となります。
 当事務所では相続や事業承継に関して、中長期的な視点から、相続税軽減策を立案するとともに、円滑な事業継承の実現に向け、節税以外の視点、特に後継者支援に力を入れてお客様をサポートします。

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相続・事業承継対策を相続税対策だと勘違いしていませんか?

 多くの方が、相続・事業承継対策を相続税対策だと勘違いしています。これは、実際に相続・事業承継を行うお客様の問題というより、それを支援する多くの税理士・会計事務所が、相続・事業承継対策と銘打って相続税の節減策のみを実施していることによる部分が大きいと思います。
 しかし、実際には相続・事業承継にあたっては、相続税の問題だけでなく、複雑に絡んだ相続人間の利害調整や事業承継問題、納税資金・代償資金等の必要資金の確保も重要なポイントとなってきます。
 いずれにしましても、相続・事業承継対策は、問題が複雑であり、一朝一夕には解決できるないケースが多いため、問題が顕在化してからでは既に手遅れとなっている可能性が考えられます。できるだけ早い時期から、様々なケースを想定し、多面的な相続・事業承継対策を始めることが有効となります。

まずは、現時点で想定される相続財産を把握するとともに、事業の将来を展望しましょう

 相続・事業承継問題を考えるにあたっては、(1)財産の承継と(2)事業・経営権の承継、を明確に意識して考える必要があります。(1)財産の承継には、相続税の負担といった問題が絡んできますし、(2)事業・経営権の承継については、現在行っている事業(個人事業・法人形態の双方を含む)を将来的にどのようにするのか(廃業も含めてどのようにするのか)といった点が、今後の相続・事業承継対策に大きな影響を与えるからです。早い時点で、これら(1)と(2)について、イメージを持つことが重要となります。
 そのために、まずは、現時点で想定される将来の相続財産を把握し、将来の相続税額の概算額をイメージすること、現在行っている事業の状況(現在の業績、資金繰り、問題点、課題等)を把握し将来展望を検討することが重要となってきます。
 このような現在の状況の把握は、今後の相続・事業承継対策の基本前提となるものです。誤った情報に基づいて、相続・事業承継対策を検討しても、効果は期待できません。面倒でも時間と労力をかけて、ある程度の精度の状況把握を行う必要があります。

後継者を明確に決めましょう

 社内外への公表は必要ありませんが、事業の後継者はなるべく早い時期に決め、本人にも告知した方が良いでしょう。早目に後継者を決めることで、事業承継問題に早い時期から手を打つことが可能となってきますし、後継者自身も時間をかけて「後継者としての決意」を固めたり、社内での基盤作りや情報収集等を行うことが可能となります。
 円滑に相続・事業承継問題をクリアするためには、先代だけでなく、先代と後継者が力を合わせることが重要です。

相続財産を、どのように各相続人に引継がせるべきか、後継者も含めてイメージを持ちましょう

 後継者が事業を承継することを前提とすると、相続財産を後継者と後継者以外の相続人にどのように引継がせるのか、極めて重要な問題となってきます。これは、親族(息子等)が後継者となる場合であっても、親族以外(従業員等)が後継者となる場合であっても避けては通れない問題です。
 事業承継を考えた場合、株式や事業に必要な資産(工場等)を後継者に集中させることが有効となりますが、一方で後継者にばかり財産が集中すると、後継者以外の相続人から激しいクレームが出るでしょう。
 また、先代が株式を十分な割合(最低50%超)持っていない場合、後継者は極めて不安定な立場で事業を承継することとなり、相続を機にそれまで協力的であった他の株主(例えば後継者の伯父・叔母)が後継者に反旗を翻したり、多額の株式買取請求を提起してくる可能性も考えられます。
 従業員等が後継者となる場合、遺言や生前贈与等によらずに株式を承継させる場合、後継者(従業員等)には多額の株式買取資金が必要にもなります。
 いずれにしても、円滑な相続と事業承継を考えた場合、現時点で把握した財産を、どの相続人にどのように相続させ、後継者にはどのように相続させるのか、株式の承継に問題はないのか、といった実に多くの点について、先代だけでなく後継者も含めてイメージを持ち、問題がある場合に早い時期からその解決を図ることが有効となります。
 だれからもクレームのでない財産の承継を実現することは難しいかもしれませんが、その不満を最小化させ、少なくとも事業を承継する後継者が円滑に事業承継できるような財産承継を実現するためには、後継者も含めて財産の承継方針を検討してゆくべきです。

必要であれば遺言等も活用しましょう

 事業の継続に不可欠な株式や工場等の事業用資産を後継者が相続することについて、他の相続人から十分な合意が得られそうにない場合、先代は遺言等により、確実に後継者に事業継続に不可欠なこれら財産が承継されるように配慮すべきです。子供(相続人)を平等に扱いたいという気持ちは良く分かりますが、その親心がかえって兄弟間での紛争を招き、特に後継者を苦しめてしまう結果をもたらすことも多いのです。ただし遺言等を活用する場合、遺留分に抵触しないか、十分に注意が必要です。

財産の承継だけでなく、経営権の承継も計画的に行いましょう

 円滑な事業承継には、「財産(株式や事業用財産)の承継」と「経営権の承継」が必要です。多くの方が、財産の承継、特に株式の承継について強い関心を払っている一方、経営権の承継については十分な関心が払われていないケースが多いように思います。これは、多くの税理士・会計事務所が、相続・事業承継対策を、株式承継に係る相続税節税策だと捉えていることが大きく影響しているように思いますが、その根底には、先代経営者が経営権を後継者に引き渡すことを躊躇しており、形式(株式や社長職)は後継者に経営権を譲っているものの、実質的には先代がいつまでも経営権の実権を保持し続けているケースが多いことが、あるように思います。
 これは、先代経営者からみると後継者はまだまだ未熟であり、経営権を完全に承継させるには不安があったり、先代経営者自身が生涯現役を掲げて事業に長く関与したいという思いを持っていたり、あるいは世代交代後の自身の処遇に不安を抱く先代経営者の保身等が背景にあるのだと考えられます。
 しかし、経営権の承継が円滑に行われない場合、社内で派閥が生じてしまったり、後継者の社内基盤が脆弱になったり、後継者自身が後継者としての自覚をもてなかったりと、少なからず影響が生じてしまい、最悪の場合、このことが原因で会社が分裂したり、倒産してしまうような事態も想定されます。
 いずれにしましても、先代経営者は後継者に経営権を承継させ、後継者によって事業が将来にわたり円滑に継続されるように、最大限の配慮をする必要があります。先代経営者の義務と言っても過言ではありません。
 経営権の承継には、色々な事情が複雑に絡んでくるとは思いますが、先代経営者は自身が経営者として行わなければならない最後にして、かつ最大の仕事であるとの認識を持ったうえで、計画性をもった経営権の承継を進めて行く必要があります。

後継者は、早い時期から後継者としての自覚を持ち、事業承継に向け前向きに活動しましょう

 後継者は、後継者としての指名を受け、会社役員に就任したとしても、なかなか後継者としての実感がわかず、全ての事に対し受身になってしまっているケースが多いように思います。これは、例えば先代の息子等が後継者となる場合、自分の意思ではなく半強制的に後継者にならされたり、あるいは後継者となることが当然であったため後継者ということについて深く考えることなく現在に至っている、といった後継者に特有の環境が影響しているように考えられます。
 先代がまだ元気だから事業承継はかなり先の話である、あるいは先代が経営権の承継をなかなかしてくれないから仕方ない・・・・、等のように事業承継を受身に考えることを正当化する状況は多く存在しています。また後継者には、何らかの現業が仕事として与えられているケースが多いと思います。その与えられた仕事を処理することで、後継者としての仕事をしているような錯覚に陥っているケースも多いのではないでしょうか。
 このように後継者が、後継者であることを受身に考えている状況では、いくら時間をかけても、将来の経営者として真に必要な考え方を身に付けることはできず、経営に必要な会社の情報も入手できないかもしれません。受身な状況では、経営者となることへの決意も持てず、必要な情報の入手や十分な検討も行わずに、成り行きで経営者に就任してしまうケースがあり、気がつけば予想もしなかった多大な借金の負担を突然背負わされたり、今まで知らなかったような経営上の問題が一気に噴出したりと、大変な状況に陥ってしまう可能性も十分考えられるのです。
 このような状況になれば、後継者は経営どころではなく、会社はきっと存続の危機に晒されてしまうでしょう。
 後継者が、先代から事業を承継し経営者になるということは、従業員の生活の確保や取引先との取引など、多くの社会的責任を有することになります。そのような重責を担う立場になることを十分に認識し、自身がその重責をまっとうできるのか、また承継する会社がその重責を遂行できるだけの経営状態(現在の業績、資金繰りと将来展望)にあるのか、といったことを、経営者になる前に自身で調査・判断し、後継者として将来の経営を引き受けるのだという決意を持たなければなりません。
 事業承継のタイミングは、突然やってくるかも知れません。決して、受身の考え方ではなく、将来の経営に向けた前向きな思考で活動することが重要です。先代経営者の退任後に会社を経営し、将来的に発展させてゆくのは後継者の仕事なのです。

相続税対策は時間をかけて行いましょう

 相続財産の把握と、将来的な各相続人への財産承継のイメージに基づいて、将来の相続税額の見込額を試算し、そのうえで相続税節税策を、あまり時間をかけずに検討しましょう。相続税節税策には、贈与税の非課税枠110万円を活用したり、相続時精算課税制度の活用、非上場株式の納税猶予制度の活用、非上場株式評価額の引下プラン等、種々の方策が考えられますが、これら相続税節税策は効果を上げるまでに時間を要するものが多いのです。このため節税策は早目に決定し、後はじっくり時間をかけて節税策を実行に移してゆくことが重要となります。なお当然ですが、相続や事業承継をめぐる状況は日々変化するものです。これら状況の変化に応じて、節税策も柔軟に見直すことが必要となります。

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近畿税理士会所属

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